en bas vizard


「・・・ん?・・・・ぁんだよ、ヘラか?」

海を臨む小高い丘の上、木陰に隠れるように眠る人陰。
ずいぶん気持ちよさそうに寝てやがるなぁ、と思って見てみれば
顔を合わせたくないヤツでついげんなりとしてしまう。

・・・にしても、寝顔は昔とかわんねえなぃ。

ついまじまじと見つめて、目覚める前に逃げようと思っていたのとは裏腹に隣に腰掛けてしまう。
癖だらけの髪を撫でれば、くすぐったそうに首を揺らした。

ふと、俺の膝に額を摺り寄せて、ふう、と吐息を漏らす。
すん、と鼻を鳴らして、満足げにすりすりと膝に頭を乗せてきやがった。

「・・・・サディク」

まさか、名を呼ばれるとはおもわなくて動揺する。

「・・・全く、なんなんでぇ、おめぇさんはよぉ・・・」

妙に恥ずかしくなって、髪を撫でたまま、空を見上げた。
こうしてっと、昔に戻ったきになっちまわ。
・・・あんときから、おめぇはくそ生意気だったけどなぁ・・・


ふと、ヘラが目を開いて、俺を見上げてきた。
俺の顔を見て、小さく笑う。


「んだよ」
「仮面・・・・ないね」

うっそりと笑う。
まだ寝ぼけてんのか?

「…嫌いじゃなかったのか、この顔」
「嫌い。みんなに、見えるから」
「は?」
「仮面つけろ・・・俺だけが知ってればいい・・・サディクの顔・・・・」

そういって、また膝に頭を預けて寝てしまった。
俺はといえば、口をパクパクさせるのが精一杯で。
くそ、顔が暑い。
赤くなってるのが嫌で、誰に見られてるわけじゃないのに、懐に入れていた仮面で顔を隠した。



クリスマス。
何でかあいつは裸で、しかも裸のフランシスとなんか一緒にいやがった。
本物の馬鹿か!?
思わず喧嘩ごしになると、向うも応戦してきて。
気づけばフランシスはどこかに消えていて
俺とヘラクレスは二人、街角に立っていた。

「ったく、おめぇさんは本当に・・・・」

路地裏に隠れてジャケットを着せてやれば、ぷぅ、と頬を膨らませてそっぽを向く。
あーあー!やっぱ可愛いくねぇガキだな!

「・・・まえ。の」
「あん?」

すんすん、と俺のジャケットのにおいを嗅いでいたヘラクレスがなにか呟いた。

「お前の、マスク・・・外しに行くって言うから・・・やだって・・・」
「・・・は?」
「だから、俺が脱いだのに・・・」
「・・・お前、本物の馬鹿だな」
「馬鹿っていうな」

だって馬鹿だろ。
俺の顔見せたくないからって・・・・自分が脱ぐとか、本当によぉ・・・

「なら、おめぇさんが、俺の顔を隠してりゃいいだろぉ?」
「どうやって・・・」

問いには答えず、顔を近づけた。
少し驚いたような奴さんの顔。
そっと触れた唇は、少し冷たかった。




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うーん、土希に見えます?(笑
気持ち的には希土なんですけど。。。

本家ネタとか少し盛り込んでみました。

タイトルは仮面の下・・・まんまですね(笑