降り始めた雨がざわめく町を包んでゆく。
執務室でコーヒーを飲み、ロイは一人外を見ていた。

窓の外はあの日のような、薄灰の世界を作り始めている。


PALE BLUE PAIN





「なあ、ロイ。窓の外見てみろよ」

ウキウキとそう笑うヒューズを無視し、ロイは机に突っ伏した。
窓の外は大荒れで、ロイ自慢の焔はすんとも出そうにない。

寮内は、この雨のせいで屋外演習が休講になった割りに人気が少ない。
きっとみんな町に出てしまったんだろう。
こいつも一緒に連れて行ってくれればよかったのに。

なにもかもが、嫌になるような雨。

「ロイ〜まだ宿題残ってんのか?」

そんなものとっくに終わってるのを知っていて、ヒューズはロイの背中に体重をかける。

「うるさい、馬鹿マース」
「せっかく休講になったのにさー、ロイってば冷たいんだ」
「……ならみんなと一緒に町に出てくればよかっただろう」
「ロイが居ないんじゃ意味ないじゃんか」
「……」
「一人がいい、なんて嘘…いまさら通用しないからな」
「………」
「やっぱ雨の日は出たくない、か?」
「……」


無視を決め込むロイに困ったような笑いを浮かべ、ヒューズは窓を見上げた。

「明日は晴れるからさ」
「……」
「絶対だって。明日は絶好調に青空になるって」

そう自信満々につぶやくヒューズを腕の隙間から覗き見ると
やっとこっちむいた、というように歯を見せ笑う。


晴天がもし表情を持っていたら、きっとこいつのような顔なんだろう。








「…お前は嘘つきだな、マース」

例え、空が青を取り戻しても、私の心は晴れることは、決してないだろう。
もう、戻れない日々に我々は立っているのだから。

…窓に落ちる雨の雫をなぞり、ロイはもう一度空を見上げた。

「…晴天を今一度見るためなら、焔に身を焦がすのも一興、か」

ふと浮かんだ考えに首を振り、ロイは窓に背を向ける。


いまはまだ、やることが残っているのだ。
お前に託されたすべてが。




…このすべてを終わらせたなら。


「きっとまた会えることを。  
…信じてる





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2004/12/17


お知り合いのヒュロイ仲間様へ捧げたヒュロイでした。
というか、アクセスでした(意味不明
エロを書こう〜と思ってたのに(ヲイヲイ)気づいたら士官学校?的な。。。
仕方ない。PALE BLUE RAINだもの。仕方ない。(どういう理屈か)