それを見てしまったのはたまたまだった。


日常?の風景


キッチンの扉が空いていて、ジェイドとニクスの会話が聞こえてきた。
覗けばやはり二人が、楽しそうにお茶の準備をしている。

「ジェイド、今日は何を作られたのですか?」
「今日はジンジャークッキーだよ」
「ほぉ…それは美味しそうですね」
「一つ食べてみるかい?」
「そうですね…貴方はもう味見されたのですか?」
「え?うん、一つしたけど…っ」

ぐい、と胸元を引かれたジェイドの唇にニクスが唇を押し当てる。
舌が、口の中 に入っていくのが見えてしまった。
ぬろりと口腔内を舐められてぱちくりと目を瞬かせるジェイドに、にこりと笑み を返し、
ニクスは楽しそうに唇を舐める。
「ふむ、流石に美味しいですね。これならば甘目にしたダージリンティ−が合い そうですね」
「…あ、うん、それは美味しそうだね。甘目ならシュガーよりはちみつとミルク を用意しようか」
「ええ、そうですね」

何事もなかったように会話は進んでいった。
…足元にふわりとしたものが横切って我にかえる。
俺の頭の中もなんだかふわふわしてる。
まるでプログラムがバグして永遠ループをしてしまったようだ。
エルヴィンの尾を追い掛けて 俺はそっとその場を後にした。




「あ、レイン!お茶が入ったよ!」

ぼんやりとテラスにいた俺に、ジェイドがにこにこと手を振って話し掛けてくる 。
あの唇が、ニクスに…っ!

「あ…あああ!お…俺は・・あっ・あとでいくから」
「…?ジンジャークッキーは嫌いだったかい?」
「あ、いや…あのな…」
「嫌いじゃなかったら、行こうよ」

にっこりとそう言われ、手を引かれる。
大きな温かい手。
…アーティファクトである彼も、キスで感じたりするのだろうか。
そんなことを考えたら、かあっと顔に熱が上がっていくのがわかった。

「あれ?顔が赤いよ?大丈夫かい?」

ぐいっと顔が近づく。 目の前に、ジェイドの唇…!

「うっ…わあああっ!」
「レイン!」

思わず駆け出した俺の後ろにジェイドの声が追いかけてくる。
すまないジェイド…!
でも今は駆け出すしかできないんだ!

誰にともなく謝罪の言葉を叫びながら俺はどこまでも走り続けたのだった。








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レイン、ごめん(笑)
ということで、N×Jでした。むしろR→J?(笑
R×Jもいいなーとか最近思ってしまったり。