スパナ観察日記-Piuttosto che vedendo, si incontra





眠そうな目を擦って、スパナは大きく伸びをした。
まるでネコみたいだ。

そう思いながら正一はモニタに映る彼の姿を目で追う。

 


モニタにそれが表示されたのはたまたまだった。

いけないことだと判っていたからすぐ消そうと思ったのだけれど。
・・・それでも彼の部屋にある監視カメラが映す画面から目が離せずにいた。


ベッドの上でしばらくぼんやりしていたスパナにミニモスカが急須とコップを持ってゆく。
散漫な動きで急須から緑茶を注いで、中を覗き込んだ。

あ、がっかりしてる。
茶柱が立たなかったんだな。

ついクスリと笑ってしまった。


不意にスパナの目がこっちを見た。
ぼんやりしていそうで、どこか猛禽類を思わせる鋭い視線が僕を見た気がして。

笑ってしまった口元を慌てて押さえる。
…って、見えてるはずないじゃないか。


画面に視線を戻せばベッドから降りたスパナはパソコンに向かっていた。
だらだらと座布団にあぐらをかいて座っているのとは対照的に
指先だけがものすごいスピードで動いている。

ふと止まって、またこっちを見た。

パソコンに視線を戻すと、ミニモスカを呼んだ。
ミニモスカがスパナに近づき、何か渡している。

あれは、墨と筆…あと半紙?

受け取ったスパナは半紙らしき白いものに何かかきはじめる。
何をはじめるんだろう…。

やがて筆を置いたスパナは紙を持ってこっちに歩いてきた。
まるでカメラに見せるようにばっと広げた紙には、
ミミズがのたくったような字で一言


スケベ




「 Senza vedere ad un tal posto, vengono alla riunione, shoichi. 」


そう言って紙を畳み、スパナは机に戻った。
何事もなかった様にパソコンを弄りはじめる。


もしかして、と検索をかければ、監視カメラ閲覧一覧にハックの跡。

…参った。見てたのバレたか。


小さく頭を掻いて、立ち上がる。
少し考えて、昨日基地を出たときに土産にって買ってきたお箸の袋を持って部屋を出た。


わざわざイタリア語で文句言ってくるんだもんな。
相当怒ってるよ。

『そんなところで見ていないで、会いに来い、ショウイチ』

そう言われちゃ、さ。
向かう先は…言わなくてもわかるだろ?







********

2009.02.09



Piuttosto che vedendo, si incontra =直訳**見るより会う(笑)

初正スパ小説でした。
イタリア語の部分は無料翻訳様に頼りきりなので間違ってる部分多いかもしれませんが(汗笑
・・・勉強します(汗笑