Un gatto Spanner-1


注意**スパナが猫です(性的な意味ではなく(笑))








ウチは猫。名前はスパナ。
金色の毛が自慢。
チャームポイントのくるんと巻いた毛が、今日も耳の後ろでふわりと揺れている。


最近、ご主人がユニ様からびゃくらんとかいう男に代わった。

飼い主が代わっても、ウチはウチ。
好きなことができれば幸せ。
今日も大好きな機械の上でぬくぬく。



なのに、おんなじ匂いのするオレンジの毛並みの男は、
ギスギスした生活にがんじがらめで。

あんたは猫なのに、犬みたいだ。
ウチとおんなじ猫のはずなのに、ご主人に尻尾振って、馬鹿な犬みたいだ。

そう言ったら、すごく悲しそうな瞳でウチを見て

「君とは違うんだ!」って
逆切れして去っていった。


あんなやつもう知らない。
ウチは猫だからやりたいときにやりたいようにする。




なのに。



ぬくぬくの機械の上にいても気持ち良くない。
ガチャガチャ落ちてるネジをいじくっても楽しくない。
自動で出てくるカリカリも、大好きなはずなのに…おいしくない。


ふらふらなあいつは今なにしてんだろ。



ふと気が向いただけ。
長い廊下をとっとっとっと歩く。



真っ暗な部屋。

あいつは画面の前の机の上に突っ伏して、辛そうに寝ていた。

こんなひんやりしたところ、楽しくもなんともないのに。



ひょい、と同じ机に上がって、ひやりと冷えた毛をそっと舐める。
小さくぶるりと震えて、でも気持ち良さそうに小さく喉をならした。

横に寝そべれば、ウチの腹に額をすりつけて。
くふん、と幸せそうに小さく溜息をついた。


「…君は、機械油の匂いがする」

うん、ウチは機械の上のあったかいところが好きだからな。

「僕も、そこでゆっくり機械いじりたいなあ…」

いじればいいじゃないか。
あんたはそのほうが似合う。

「ん…」

返事なのかよくわからない言葉を呟いて。


正一は、眼鏡を外して、ウチの腹に鼻をすりつけた。


ウチは猫。名前はスパナ。

ご主人でもなんでもない、このニンゲンの、正一が。
ウチとおんなじ、猫に…自由になることを祈ってる。





*****
09.02.09

スパナ猫シリーズ(笑
はじめは正一も猫の予定だったんですが
書いてみたら、こんなんなりました。
なんで猫がいるのかとか、そういう突っ込みはなしでwww

・・・ほかの猫とかもいるのだろうか・・・(笑