よくある日常の練習風景。
仲良きことはうつくしきかな。


ひとにやさしく



練習の途中、手首をくきくきと動かして千歳が首を傾げている。
財前がそんな千歳の様子に気づいて、ぽてぽてと近づいていった。
ちょっと前まで転校生なんて、って顔してたのに
最近財前は千歳のそばにいることが多い。
千歳からはいろいろ学ぶことも多いやろ、ええ傾向や。

「どうかしたんスか?」
「いや、筋肉痛みたいばい」
「は?」

へら、と笑う千歳に、財前は眉間にしわを寄せた。
俺も思わず首をかしげる。
筋肉痛?
そんなとこ筋肉痛て、お前なにしてんねん。

「ちょお見せてください」
「大丈夫ばい」
「ええから…やっぱそうや」

軽くひっくり返したりなでたりした財前があきれた顔をした。
はあ、と深くため息をついて財前は千歳を見上げる。

「…先輩、これは捻挫いいますねんで?」
「いやいやそげに大袈裟なもんじゃなかよ」
「アホやないっすか?ええから早う湿布しますよ?」

こんなんちょっとのことでもなめてたらあきませんで?とか言いながら
ぐいぐいと千歳を引っ張り、財前は部室へと消えていった。





「白石?どないしたん?そないにやにやして」
「財前が他人の世話やいとんねん、なんや成長したなあ思うて」
「へえ、あの財前がなあ」
「子供には動物与えると世話やきになる言うけどホンマやねんなあ」
「…それツッコんでええんやんな?」

納得しそうになって、思わず謙也は白石の肩を裏手で叩いたのだった。



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手首が痛い、と思ったときに
ふと降りてきたネタ。
練習してて、しかも手首を筋肉痛とかないだろ(笑)と