白石姫


Cast

姫:白石
王子:謙也
小人:銀
王:千歳
王妃:財前
狩人:遠山
鏡:一氏&金色

「なんで白石が姫やねん」
「そりゃ、俺が絶頂やからやん?」
「それより師範の小人っちゅうんつっこめや・・・」
「そこは笑いを取るのに大事なとこやろ?いまはスルーするんが鉄板やで?」
「俺は王様と?なん照れるばいねー」
「・・・なんで俺が王妃や」
「似合うからやろ」
「ひかるんも2年生やからね、下克上の心やんな!」
「何スかそれ」
「なあ!俺狩人やて!財前、俺は何を狩るんや?」
「白石部長っすわ」
「「ほれ似合う」」
「・・・マジうざいっすわ」
「これこれ青少年!はじめんで準備しーや!!」

「ちなみにナレーションは、俺、小石川や」








昔々、あるところに白石姫という絶頂な姫がおりました。
白石の母は白石を生んですぐに亡くなり
再婚した継母は、なんと魔女でした。

「女や無いから、魔法使い言うてください」
「そぎゃん言うとっと俺と結婚するって話がおかしくなるったい」
「だいたい、結婚言うんやったら先輩が俺んとこ嫁に来るべきや」
「それだと話が変わってしまうばい。それはそれ、これはこれっちゃね」
「・・・ま、しゃーないっすわ。ほんなら、鏡ー出てきーや」

魔女・・・コホン・・・魔法使いである継母財前は鏡の精を呼び出しました。
鏡の精はこの世の全てを見通し、あらゆる質問に答えることができるのです。

「「鏡の精、登場〜♪」」
「先輩らウザいっすわ」
「なんやその言い草は!しかも先輩に向かってでてきーやはないやろ!」
「まあまあ、落ち着きなっせ」
「だいたいなあ!元々王妃役は小春やってんねんぞ!」
「あら、そうなの?」
「せやけど、小春が嫉妬に狂う姿なんてみてなかってん」
「ユウくん・・・あたしのために…!」
「小春ぅ!」
「先輩らウザいっすわ」
「「酷っ!」」

渾身のラブルスネタを一刀両断されて、鏡の精は崩れ落ちました。
しかしそこは叩かれ慣れている二人。
すぐに持ち直し、えらそうに胸をはりました。

「で?わざわざ俺らを呼び出してなにが聞きたいねん」
「老後の安心」
「「わかるかあっ!」」
「嘘っス」
「ほんならなんやの?」
「四天宝寺テニス部の部長に誰が一番ふさわしいか」

財前の言葉にその場にいた全員にどよめきが広がりました。

「・・・お、おまえ・・・なんちゅうことを」
「下克上やね、ヒカルん」
「なかなか言いよるったいね」
「で、どうなんすか」
「「そんなん白石が相応しいにきまっとるやん」」
「ま、そうっすよね」
「どぎゃんしてこげな質問したと?」
「台本にあったからっすわ」
「「オイ!!!」」

「・・・まあ、冗談は置いといて…ほんなら白石部長を消せばええんすよね?」
「部長付けとる時点で負けやないの?」
「うっさいっすわ」

財前は庭へ出ると、狩人の金太郎を呼び出しました。

「遠山、出番や。白石部長を消してくるんや」
「えー」
「白石部長がおらんようになれば毒手に怖がることもないんやで?」
「おお!」
「たこ焼き食べ放題もつけたろ」
「よっしゃ!やるでぇ!!」

簡単に乗せられた金太郎は、白石をつれて森の中へやってきました。

「ここまできたけど・・・うーん、どないしたらええんやろ」
「どうした金ちゃん?」
「あんな、財前に森ん中に白石連れてって消してこい言われたんやけどな?
ワイ手品師やないし、どうやって白石消したらええんかなあ思うて」

金太郎はお馬鹿さんなので、べらべらと情報をバラしてしまいました。

「・・・なるほどなあ・・・ほんなら金ちゃん、コレ持って城に戻り」

そういって出したのは包帯のスペアでした。

「これもってったらええの?」
「おん。やってきたで!って言うたったらええわ」
「わかったわ!白石はどうするん?」
「俺はもう少し森におるわ」
「わかったで!おおきに白石!!」

金太郎は包帯を握り締めて去っていきました。


「さてと、俺はどないするかな」

きょろきょろと辺りを見回すと鬱蒼と茂る木々の間に小さな小屋が見えました。

「あんなところに小屋や。だれかおるんやろか・・・すいませーん?だれかいますぅ?」

静かです。
そっと戸を押せば簡単に開いてしまいました。

「なんや無用心やな・・・ほな、お邪魔しまー…す」

誰もいないのを確認して、白石は勝手に上がりこみました。
家の中には机と椅子、ベッドがそれぞれ7つづつありました。
どれも白石の膝くらいのおおきさのミニサイズです。

「こりゃ小人サイズいうやつやな。なるほど・・・・ここが噂の7人の小人の家か」

物珍しさにきょろきょろと見回していると、不意に窓の外に大きな人影が見えました。
急いで外へ出てみると大男が一人立っています。

「誰や!?」
「おまえさんこそ誰や?俺の作った模型の中でなにやっとったんや」
「もけい?」
「そうや、小人さんのお家セットや」

大男の名前は銀といい、模型の裏にある大きな寺に住んでいました。
白石は訳を話し、銀の寺にやっかいになることになりました。




その頃、城では財前が包帯を手に鏡の精を呼び出しておりました。

「あらーヒカルん?また御用?」
「あたり前や。部長の座をゲットするんや」
「まだ言うてたんか」
「あのねえ、ヒカルん?来年まで待たれへんの?」
「それ言ったらおしまいや・・・これ、証拠品」

ひらりと財前が見せたのは白い包帯。
白石がいつも左腕に巻いているそれに良く似ています。

「ま、まさかそれは」
「そうや、白石部長のモンや」
「せ、せやけど・・・白石なあ」
「「銀さんとこにおんで?」」

きっぱりとそう答えられて、財前は目を据わらせました。
鏡の精は尚も言葉を続けます。

「白石コレクションみせられてもなんとも・・・ねえ?」
「そういうんとちゃいます」
「どうせアレやろ?これ、白石殺して手に入れた的な?そんなん金ちゃんかてだまされんぞ?」
「・・・その金ちゃんさんが持ってきはったんですけど?」
「「アホやわーーーー」」

鏡の精に散々馬鹿にされ、財前はイラッとしました。
そこで今度は鉄板の毒りんご製作に乗り出しました。
毒々しいにもほどがある紫のりんごがシューシュー煙を吐いています。
あまりのグロデスクさにそれを見た千歳が思わず後ずさったほどでした。

「見事に毒々しかねえ」
「こんなもんでええやろ。先輩、食うてみてくれます?」
「嫌ばい」
「チッ。せやったらこれ部長に食わせてきてください」
「嫌ばい」
「なら食うてください」
「嫌ばい」
「・・・下の口で食います?」
「白石んとこ行ってくるばい」

下品にいいくるめられて、しかたなく千歳は変装して出かけてゆきました。




銀さんの寺の前で、千歳は大きく息を吸い込みました。

「たーのもーーーぉ」
「なんやねん千歳、そない面白おかしい格好しおって」
「そぎゃんこつ言うたらいかんばい。一応リンゴ売りに変装しとっと。これ、リンゴの差し入ればい、食いなっせ」
「ほう・・・これは・・・」

あきらかに毒りんご。紫から黒に色を変えつつあるそれは、よくみれば猛獣のオーラまで纏っています。
どす黒いオーラを纏ったそれを手にとって白石は目を眇めました。

「これだけ見事に毒々しいもん、、初めてみたわ!毒草マニアの血が騒ぐっちゅう話や!!!」
「やっぱり毒ってわかると?」
「当たり前やん、これは即効性のモンやな・・・症状としては
、不整脈、痙攣、呼吸異常、心臓麻痺ってとこか」
「そこまでわかると?なら、食わんばいね」
「いただきます」

残念そうにため息をつく隣で、白石は勢いよくリンゴにかぶりつきました。
そして唖然とする千歳に満足げに笑いかけます。

「なんで食ったと!?」
「こんなおいしいネタふり、食うしかないやろ!?」
「ばってん、それには毒が」
「そうや、毒が・・・・・・・・ぐふうっ!!!」

芸人魂に火をつけたせいであわれ白石は倒れてしまいました。

と、そこへタイミングよく王子が現れました。

「どうした白石」
「毒食って死ぬ寸前や」
「あと二分・・・白石が息絶えるまでの時間ばい」

無駄にキラキラしながら千歳がそう予告します。

「ああ・・・あかん、死ぬ」
「しっかりするんや白石!」
「めっちゃエクスタシィでスピードスターな王子がキスしてくれへんと、死ぬう」
「・・・・・え?」


「頑張るばい!謙也!」
「脱!へたれやで!」
「はようぶちゅーっといきや♪」
「ええから早う死んでください」
「え?なんや?」
「金太郎はんにはまだ早いで」

いつのまにか回りはやじうまだらけになっていました。



「ち・ち・ちちょっと待てや!そんな話しちゃうやろ!?」
「そういう話や、ほれぶちゅーっといかんかい」
「あーーーしぬーーーー」

みなの視線を一身に浴びて、謙也は白石の肩に手を置いたまま硬直してしまいました。

「あーもう!なんやん!じれったいなあ!」

ばしいっ!

小春におもいっきりどつかれて、謙也は白石の上に覆いかぶさりました。
ぶちゅうっと唇に唇が押し付けられています。

「おっ」
「やりおった!」
「やったわね」
「よかったばい」

口々に賞賛の言葉を送るメンバーの中、財前は釈然としない表情のまま、千歳の袖をくいくいと引っ張りました。

「・・・ねえ千歳先輩」
「なんね?」
「俺ね、いつも疑問やったんすけど」
「うん?」
「毒が口に付いとる人間に口つけたらどないなります?」
「そりゃあ・・・毒が移って死ぬんじゃなかと?」

「「あ」」


こうして、王子共々白石姫は死んでしまいましたとさ。






「ちょお待てや!こんなんでええのん!?」
「ま、笑いはかっさらったし、ええんちゃう?」
「ええやんええやん、謙やんクラりんとチューできたし」
「うっ」
「どないやった?」
「むっちゃエクスタシィーやった(真顔)」
「ウソつけ!めっちゃ事故やったやないか!!!」






おわり

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迷作劇場その2でした。
財前が随分猫駆除的なキャラになってしまった・・・
最後のとこの財前の疑問はあたしがずっと思ってたことでした←
王子つええ!みたいな。

次は立海かな。

感想等お待ちしております。