竹取物語(立海)


Cast

竹取翁:真田
おばあさん:幸村
かぐや:柳生
貴族A:丸井
貴族B:ジャッカル
貴族C:柳
帝:仁王
月の使い:赤也

「お、俺が主役の翁だと!」
「フフ、主人公はかぐやだよ」
「まことに恐縮です」
「おいおい!貴族ABCはねえだろぃ!」
「・・・どうしたジャッカル、震えて」
「・・・お」
「お?」
「俺の名前がある・・・っ」
「不憫ナリ」
「ところでナレーションはどうする?」
「俺が兼任するとしよう、所詮男Cだからな」
「あ、根に持ってる」







昔々、あるところに真田という男が竹取を職に暮らしていました。
ある日、いつものように竹林へといくと、大きな竹がまばゆい光を放っていました。

「なんと面妖な…キェエェイ!」

真田が持っていた刀で竹を一刀両断にすると
中から男の子が出てきました。

「ほう…これは……家へ連れ帰って幸村に見せよう」

真田は家で病気に臥している幸村のところへその子供を持って帰りました。


「…真田、やっぱり君、年を偽っていたんだね」
「何故そうなる!」
「だってこれ、隠し子だろ?」
「違うぞ!竹が輝いて中からこの子が!」

「真田…竹は光ったりしない」
「うっ」
「植物の中に子供などできたりしない」
「ううっ」

幸村の容赦ないツッコミに、真田は言い返す言葉もなくがっくりと床に倒れ込みました。

「…まあ僕も退屈してたんだ。いいだろう、この子、育ててみようか」

誤解は解けぬまま、二人は子供に比呂士と名付け育て始めました。
比呂士はすくすくと育ち、1年足らずで14歳程の少年に育ちました。
比呂士はとても頭の良い子で、町中から彼に家庭教師をして欲しいというお願いが殺到しましたが、
いつのまにか話が紆余曲折して、嫁にほしいという話になっていました。


「比呂士ーっ!俺んとこに嫁にきてくれよ!」
「ウチ…貧乏だけど、きてくんねえか?」
「俺のところで共に書を嗜まないか?」

戸口でわめく貴族たちに、比呂士は眼鏡をくいっと押し上げ、困ったようにため息をつきました。

「貴方たち、また来たのですか?何度もいいますが私は男です!嫁になど行きませんよ!?」

「比呂士が来てくんねえと俺の赤点がっ」
「幸村が恐ぇんだよ」
「折角なのだし楽しまんとな。良い経験だと思え」

「そうじゃそうじゃ」

「にっ、仁王くん!?貴方はまだ出番ではないでしょうっ!?」
「ええじゃろ、別に。早く話を進めろとの幸村からのお達しじゃ」

帝の衣装を華々しく着こなしながら、仁王はケラケラと笑って比呂士の肩を叩きました。

「のお、柳生…ここはテニスで決めるというのはどうじゃ?」
「柳生ではなく比呂士ですが…まあ良いでしょう。…テニス、ですか?」
「そうじゃ、柳生とダブルスを組んで、柳生がいちばんやりやすかった…」

「異議ありっ!ズリぃぜ仁王っ!」
「そうだぞ雅治」
「ジャッカルからもなんか言えよっ」
「…いやあ、俺は前に組んだことあるから、そこそこやりやすいと思うんだ」
「そういえばそうだったな」
「ジャッカルのくせにふざけんなっ」
「いてえよブン太やめろっ」

ギャーキャー言い合いをしているうちに、いつのまにか夜になっていました。


空には大きな赤い月が浮かんでいます。


「ヒャヒャヒャ!比呂士先輩は俺のところに来てもらいますよ!」

突然一人の男が障子を突き破って入ってきました。
背中に蝙蝠のような羽根をつけたワカメ頭のその男は真っ赤な目をぎらりと光らせ、比呂士を担ぎあげました。

「なにをするのです!」
「俺は月の使いの赤也。先輩には月に帰って俺の家庭教師になってもらうっス」
「月だと!?」
「なるほど、比呂士は月の姫だったということか…ふむ、興味深い」
「こんなときまでデータかよ!」

赤也はひらりと飛び上がり、屋根の上へと着地しました。

「さあ、帰りましょう比呂士先輩」

…と、いままでおとなしく担がれたままだった比呂士がくつくつと笑い出しました。
紳士らしくない笑い声に、赤也はぎょっとして比呂士を見つめました。

「ほんに俺を連れていくのかのお」
「そっ、その声は…仁王先輩っ!?」

しかし地上には帝姿の仁王がいます。
…仁王がにこりと微笑み、銀髪をぐっと掴みました。
ぱさり、と銀髪が脱げ、栗毛がさらりと月の光に揺れます。

「いっ、入れ代わりだとっ!?」
「さあてのお…もしかすると俺は本物の比呂士かもしれん」
「えっ!!?」
「下にいるのは仁王なのかもなあ…いや、あっちこそ比呂士かも…」

難しいことを言われ、お馬鹿の赤也は頭がぐるぐるしてきました。
ついよろよろと地上へと降りてしまいました。


「あれしきのことに乱されるなど言語道断!こい!一から鍛え直してやる!」
「ぎゃあっ!副部長!勘弁〜っ」

こうして赤也は真田に捕らえられ、比呂士は仁王とにこにことハイタッチをしましたとさ。






「で、結局どっちがどっちだったの?」
「嫌ですねえ、流石にあの短時間で服の入れ替えはできませんよ」
「ってことは上にいたのが比呂士か」
「詐欺師以上の詐欺紳士だな」
「お前さんは恐ろしか男じゃ」
「貴方ほどではありませんよ」






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迷作劇場、立海編でした。
いかがだったでしょうか(笑)

感想おまちしています。