空と海の逢瀬




それを見たのは、テレビの画面だった。

一面に広がる蒼。
空と海の境は消え、砂浜すら水に浸され青い。

雄大。

そんな言葉では表し切れない程、素晴らしい景色。



俺は何故か無の宇宙の闇を思い出した。
あのときの孤独な広さとは違う。
孤独であり、すべてがここにある。命の源。
そう思わせる、広い世界。

いつのまにか流れていたらしい涙が止まらず、
そして、落ちる雫を拭うこともできずに画面に見入っていた。


伸が隣に座り、映像と俺を見て唇を微笑みに形作る。

「いい、景色だね」

やさしく呟いて、俺の隣でそっと手を握った。
俺は小さく「ああ」とだけ答えて
伸の肩にもたれたまま、溢れる涙を流し続けた。


空と水が融けあえるのは、この広い宇宙で、地球だけだ。
軌道がほんの少しズレれば、火星のように水のない惑星に。
もしくは木星のように氷の惑星に。
水が、水でいられる奇跡。

いつか伸にそんな話をしたことがあった。
そのとき伸はうれしそうに笑ってこう言ったな。


奇跡が重なって、僕等はここにいるんだね。






「見にいこうか」

この景色を。
伸がそう言ったが、俺は頭を振った。

「俺には、俺だけの海がある。それで充分だ」
「…そっか」

伸は一瞬眩しげに目を細め、俺の頭を抱きしめた。




俺だけの海。俺だけの水。

そして俺はお前だけの、空に。


空と水の逢瀬は、永遠に続いてゆくのだ。



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伸当、と思って書いたのですが、なんかわけわかんないですね(笑
とりあえず、小学生の頃かな、に
地球は太陽系唯一の水の星、奇跡の積み重ね云々でできた、
というのを聞いたかかなんかしたのを覚えていて、
それをもとにできないかなー、と。思ってたところに
pya!の空と海の融合写真。 
(はじめにみたのはコレじゃなく、青だけのやつだったんですが…なくなってたのでコレ。)

ああー、伸当!と。。。

当初は伸が見ている方向で書いてたんですが
どうも当伸テイストになってしまったので、改装に伴い書き直しました。
こっちのほうがらしいかなあ。。。